Restart as PEOPLE

備忘録。

糸川博士の著作、「驚異の時間活用術」を読んで

「日本の宇宙開発・ロケット開発の父」と呼ばれるほど、宇宙工学に精通した人で、なおかつ多趣味……というとこまでは僕も知っていた。でもそれだけの知識だった。

わたしの糸川博士の認識は上に書いた程度。わたしは私立の文系大学の法学部生ですし、宇宙に対しても一般的な知識しか持ち得えていない。

この本を読もうと思ったのだって、普段なかなかスケジュール管理がうまくいかなった時だったから。まず、タイトルに惹かれ、その後で著者が糸川博士だったと知ったくらいだった。

だけど、この本には僕のような凡人でも真似できる、言い換えれば

「糸川博士のような天才でさえ、一般人でもできるようなことを"徹底"していた」のだ。今回はそんな糸川博士の時間術について、ブログを書きたいと思います。

よく眠る人、"イトカワヒデオ"

f:id:masafumihirouchi:20180618160833j:plain

出典:Photo by SpaceX on Unsplash

僕たち凡人は時間活用術を考える際、「睡眠時間を削る」ことを考えがちです。睡眠を8時間から6時間にすれば、2時間の空きが生まれ、その2時間を活用すれば、1日を有意義に過ごせるって思いがちです。

でも、糸川博士は違います。糸川博士は毎日、最低7時間、疲れた時には8時間眠っています。

「振子はかならず両方にふれる」。片方だけ"ふれ"を小さくしし、反対側だけ大きくさせることはできない。つねに左右均等なのだ。P.23(本書)

 

糸川博士によれば、睡眠時間を削って、生活の質が上がるわけはない。睡眠の質が下がれば、同様に生活の質が下がるのだと、いうことです。この睡眠の質を上げるために、糸川博士は枕を改良したり、目覚ましを改良したり、様々な方法を試みています。詳しく話してもいいのですが、いわゆる「ネタバレ」となるので。きになる方は本書をご覧あれ!

 

糸川博士は"切れ端時間活用の天才"

f:id:masafumihirouchi:20180618161030j:plain

出典:Photo by Estée Janssens on Unsplash

スケジュールを立てる際、まず何から書き込みますか?仕事の予定、自分の予定?

どちらから書いても構いませんが、1つ、気をつけることがあります。それは、「予定と予定の間の時間」です。この時間、スケジュール帳にどのように記入していますか?多分、空欄の人がほとんどだと思います。糸川博士に言わせれば、この時間は「切れ端」ということで、少しの隙間も見逃さなかったでしょう。

糸川博士は電車の待ち時間、待合室の時間、なんと車の中での移動時間でさえ、原稿を執筆していました。

「たかが十五分や二十分……」と思ったらもだめである。

駅で電車を待つほんのわずかな時間など、たいていの人びとが何気なく捨ててしまっている時間がある。それを、いちどためしに拾いあつめ、つなぎ合わせてご覧になるとよい。P.46(本書)

 

あなたはもし、15分のスキマ時間があったらどうしますか?スマホをいじりますか?

たかが15分と思うなかれ。これを読んでいるあなたも、いますぐスケジュール帳を確認してスキマ時間を見つけてください。他にも本をバラして読む、など糸川博士の時間の使い方をご覧いただけます。

10人同時に聞けるか、1を聞いて10を知るか。

f:id:masafumihirouchi:20180618161258j:plain

出典:Photo by Roman Mager on Unsplash

時間を節約するという方法には単純に「時間を管理」する方法と、「時間を効率よく使う」方法の2つがあります。前者は先ほど書きましたが、後者についても糸川博士は記述しています。その代表的な例として上げるのが、「一を聞いて十を知る方法」です。

糸川博士は「エッセンスをつかむこと」としています。というのも、闇雲に何かをつかむのではなく、「何かをつかむために」をはっきりさせれば、読書という方法を取ってもすぐに答えを見つけ出せるというのがその本意。例えば、「英会話の上達方法」を探して参考書をパラパラとめくっても答えにたどり着くまでには時間がかかりますよね。参考書の「英会話の上達方法」と題された部分を見ずに、「英会話が話せることで生まれるメリット」を読んでいても効果は上がりません。まぁ、学習のモチベーションは上がるでしょうが。

このように、時間を節約するとは一言で言うと、「時間の使い方を見極めること」なのでしょう。さすが糸川博士というような、目から鱗でした。

ロケットの父、糸川博士がみる日本式会議

f:id:masafumihirouchi:20180618161447j:plain

出典:Photo by rawpixel on Unsplash

ロケット工学の第一人者、糸川博士はその舞台を日本に限定せず、世界各国でも仕事をしていました。その中で、糸川博士が気になった点は「日本式会議」についてでした。

 やはり、会議の持ち方は、アメリカ式の方がいい。

 本日の会議は何時に始まり、何時に終わる。議題については、A、B、C、Dとあり、それぞれの要点はこれこれしかじかである。ーーこうした文書が、あらかじめ出席者全員に渡っているので、出席者も事前に自分の考え方をまとめておくことができる。だから、定刻と同時に本題に入ることも可能なのだ。P.96(本書)

このように、糸川博士はアメリカ式の会議と比べ、日本式会議は時間のロスが多いと評している。確かに、日本式会議は定刻通りに始まるものは少ない。わたしが勤める会社(今はインターンです)でも、定刻に全員が席についているにも関わらず、雑談からスタートすることもあります。本人に言わせてみれば、アイスブレイクのようなものでしょうが、アイスブレイクを必要とする背景には、会議に出席するということを全員が理解していないからでしょう。何かを決める、何かを話し合うために、参加者の仲が悪いから勧められないというのは、組織として欠陥と言わざるを得ないのではないでしょうか。

糸川博士の時代はパソコンもまだ普及していない頃。ですが、今と同じような問題があったのです。なんだか、人間は変わっているようで、実は全然進歩していないものなのかなと思わされますね。

読書に見られる省時間

f:id:masafumihirouchi:20180618161656j:plain

出典:Photo by Hanny Naibaho on Unsplash

糸川博士は読書についても時間術を取り入れていました。詳しくは本書でも取り上げているのはそちらをご覧いただきたいのですが、少しだけ説明をすると、

「〇〇を持って読書をする」

ということでした。この〇〇を持つことでそれこそ、会議においても、勉強においてもかなりの時間節約が期待できます。この〇〇に入るものは何でもありません、よく聞き慣れている言葉ですし、何か実体を伴うようなものでもありません。ただ、これを持っていると持っていないとでは本を読むにしても何をするにしても、大きくその効果が分かれる、そういったものです。

また、糸川博士は「目標の立て方、目標に到達する方法」について説明しています。知っているようで知らない目標の立て方や、それに到達する方法はこの際、ぜひ覚えてください。糸川博士だからできたことと一蹴するにはもったいないです。

糸川博士も同じ日本人

この本を読んでわたしが感じたことは糸川博士はわたしと同じ日本人だということです。正直、この本を読み始めたきっかけも「タイトルに惹かれただけ」でした。糸川博士にしても「天才でわたしとは全く違う人種」くらいにしか思っていませんでした。ですが、この本の中に登場する糸川博士はどこにでもいると言っては失礼ですが、親近感を感じる、一人の日本人です。天才だからわたしには同じ方法は取れないと思っている人はとても勿体無いです。ぜひ、この本を読んだら「なんだ、糸川博士も同じ人間なんだ」と思えるはずです。